絞り(しぼり)によるボケ具合の変化

2007年10月25日(木)

Category: こだわり, 写真, 目のお話

視力が悪いのだけど、今メガネを持ってない、けど遠くの文字を読みたい場合の裏技を教えましょう。それは、小さい穴から覗くのです。例をあげましょう。私は近視です。お風呂にはもちろんメガネはかけて入らないので、お風呂では何も見えません。けど、時計の時刻を読みたい。そのときは・・・指でなるべく小さい穴を作り、その穴から覗くようにして時計を見るのです。あら不思議、全く見えなかった時計の時刻が、鮮明には見えませんがなんとか見えるようになるのです。

これは先日お話した、目の絞り(しぼり)と非常に関係があります。今日は、絞り(しぼり)によるボケ具合の変化のお話。

目の絞り(しぼり)による像のボケ具合

上の図を見てください。上図は近視の屈折の状況です。目の前の光の量を調整している板みたいのは、絞り(しぼり)です。絞り(しぼり)の穴の大きさが大きい場合の眼の奥の網膜に映る像のボケる大きさと、絞った場合の網膜に映る像のボケの大きさを比べてみてください。小さくなっていますよね。小さくなっているということは、ボケ具合が減少しているということです。つまり、絞りの穴が小さくなると、ボケていた像がボケ具合が軽減され見えるようになるということです。

ボケと錯乱円

この網膜に映る円を錯乱円と呼びます。ボケ具合が減少するとこの錯乱円が小さくなることがわかると思います。この錯乱円が小さいほど、像が鮮明に見えるということで、カメラではピントが合っているということです。

絞り(しぼり)と焦点深度と錯乱円

焦点付近にピントが合っているとみなせる範囲を焦点深度と言うのですが、絞ると焦点深度が長く(深く)なることが上の図からわかると思います。この焦点深度に関係した被写界深度というものがあるのですが、この話はまた今度。

では、最初の話題に戻りましょう。この絞り(しぼり)とボケ具合の変化の関係が分かれば、小さい穴から覗くと、絞り(しぼり)の効果でボケていたモノが見えるようになるという原理(ピンホール効果)が分かりますよね。この小さい穴は、1ミリくらいの穴で見ていただくと実感できると思います。身近なモノでいえば、テレホンカードのパンチ穴なのですが、最近はテレホンカードを使わなくなりましたね。小さな穴をいくつか開けたアイマスクをつければ視力アップという宣伝文句のものがありますが、これはこの原理を利用したものです。これをつければ視力が良くなるというわけではありませんのでご注意を・・。
最後に、このピンホール効果は、視力の度数の強さや元々視力の出ない場合などすべてに当てはまるものではありません。