目の老化・目の調節力の話の続きです。今日は、家族で楽しめる調節力の簡単な実験をお話します。実際は、手順や方法は詳しく測定するのですが、ここでは単純にできる簡易なやり方を紹介します。
前回、年齢とともに目の調節力がどんどん下がるというお話をしました。これは、目の水晶体の膨らみが悪くなってくるのが原因です。近くを見るときには、近くを見るのに必要な分だけ水晶体を膨らませるわけで、どれだけ水晶体を膨らませることができるかを測ればよいのです。つまり、どれだけ目に近づけてピントが合うかを測ればよいのです。年齢によって明確にその距離に差が出るので、家族で実験して頂くとおもしろいと思います。
実験の前に、約束事があります。これは、遠方の視力矯正が正しくなされている状態でなければいけません。近視や遠視のメガネを外したり、老眼用のメガネを掛けた状態では、その分だけの調節力の上下が加算されるので、正しくは測れません。
まず、何でもよいのですが側面に文字の書いてある鉛筆を用意します。片目を隠して、もう片方の目で鉛筆の文字を見えるようにします。そして、その文字のピントが合う一番近い距離を測ります。ピントが合うとは、文字が読めるというより、文字の輪郭のにじみが出ないことです。少し目に近づけて輪郭のにじみが出るギリギリのところを測定します。実際は、遠くから徐々に目に近づけてきてピントがボヤけ始める点と、目の方から徐々に遠ざけていって、ピントが合い始める点の両方を計測するのですが、どちらでもかまいません。
下の表は、個人差があるのであくまでも目安ですが、だいたい下のようなところに収まると思います。
年齢 | 調節力 | 近点距離 |
---|---|---|
10歳 | 14D | 7cm |
20歳 | 10D | 10cm |
30歳 | 7D | 14cm |
35歳 | 5.5D | 18cm |
40歳 | 4.5D | 22cm |
45歳 | 3.5D | 28cm |
50歳 | 2.5D | 40cm |
55歳 | 1.5D | 67cm |
60歳 | 1.0D | 100cm |
65歳 | 0.5D | 200cm |
70歳 | 0.25D | 400cm |
75歳 | 0.0D | ∞cm |
みなさんは何センチでした?私は、だいたい16センチでした。はい、年齢どおりです。
調節力を測ることで、年齢を推測もできますし、裸眼での調節力を測ることによって、年齢相応の調節力との差から、視力の度数の推測もできるんですよ。