前回のつづきです。
テストフレームに度数のレンズを入れて見え方の確認などをするのですが、先日お話したように、乱視のある場合は、球面のレンズと乱視のレンズを組み合わせることになります。すると、横からみたらわかるように、2枚になります。構造上、同じ場所に入れることができないので、筒のように前の方に加えていくことになります。
実際のメガネになる時のレンズは、乱視を組み合わせた一枚のレンズになるわけで、やはりテストとしても見え方が変わったり、ストレスになったりします。しょうがないのですが、出来るなら実際のメガネと同じ1枚にしたいところ。
例えば、前回の例を使って説明すると、マイナスのレンズで0.25刻みとして-10.0までで110通り。乱視が-2.0までを考えても9通り。110枚の球面レンズと9枚の乱視のレンズがあれば、110×9=990通りを作ることが可能なのです。1枚にするなら990枚必要で現実的じゃないのです。
しかし、そんなテストレンズが存在することを実は数年前に知りました。昔はあったらしいのです。
私がお店で働くようになった時にはすでに棚の中で眠っていた、昔のガラスレンズの在庫がたんまりとありました。乱視入りのもので、屈折率を考えると今は使うことはないのでずっとそのままに。
よくよく考えたら、これをテストレンズにしてしまえばいいじゃないかと!!
整理してみたら、あるわあるわ。乱視-2.0までバッチリあります。乱視が強いほど同じ度数でも7枚とかあったり。昔は、乱視の強いところまでのレンズを揃えていたようです。
作りましょう、ということでせっせとガラスレンズをテストレンズに加工しました。若干抜けているところもあるのですが、-10.0までと乱視-2.0までのテストレンズがほぼ完成しました!プラスは+6.0までと乱視+1.0まで。
私は乱視-1.75あるので、レンズ2枚のと1枚のもので比べてみました。まずは軽い!それから、明るさも明るく見えます。視力はまっすぐ見る分には同じです。そしてやっぱりストレスは少ないです。
特に良いのは、遠近両用のテストレンズを入れる場合、格段に良いです。3枚と2枚は随分違います。近用の部分の見え方が違いますね。
不良在庫になっていたものが、思わぬ宝となりました。
テストレンズでは、「これ掛けれないわ」と言う事があっても、実際のメガネになると意外と大丈夫だったりするものです。少しでもテストレンズでのストレスをなくせればと思います。
最近、視力を測定していて、自分で作ったレンズが相当する時、内心でウッシッシと思っているのは秘密です(笑)
恐らくですが、乱視入りのテストレンズを持っているお店は、1%もないと思います。